経緯

自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は9月に2026年版のステータスレポートを公表しました。それによると、提言に沿って自然に関する報告を行うことを公に約束した組織であるTNFDアダプターは802に上り、1年前の620から増えています。その中の金融機関の運用資産は推定26.6兆米ドルです。これとは別に、公表済みの報告書に関するTNFD自身の分析では、56か国の1,000を超える組織が、少なくとも一部のTNFDに沿った開示を行っており、前年の2倍になっています。ESG Todayが2026年10月16日にこれらの数値を報じました。

現在、2つの基準設定機関がその成果を基に取り組んでいます。

  • 英国独自のサステナビリティ基準の基礎となる気候基準を策定したISSBは、2026年10月22日に、自然関連開示に関する実務記述書を提案する公開草案を公表するとしています。TNFDの成果を活用したもので、2027年2月19日まで意見を募集します。
  • TNFDによれば、ISOは2026年9月、TNFDのLEAPアプローチに基づく規格の提案を承認しました。作業は2026年第4四半期に始まり、2028年に完了する見込みです。

この時期は意図的なものです。国連生物多様性条約の会議であるCOP17は、2026年10月19日から30日まで、アルメニアのエレバンで開催されます。各国政府が2022年に合意した目標の一つであるターゲット15は、大企業と金融機関が、サプライチェーンやバリューチェーンを含め、生物多様性に関するリスク、依存、影響を監視・評価・開示するよう各国に求めています。

英国の小規模サプライヤーにとっての意味

ここで取り上げた内容は、いずれも小規模事業者に法的義務を課すものではありません。TNFDは任意であり、ISSBの提案は意見募集の段階で、英国は小規模企業向けの自然関連報告ルールを提案していません。枠組みそのものの基本については、小規模事業者向けTNFDのわかりやすいガイドをご覧ください。

影響は炭素と同じく、顧客を通じて及びます。TNFDに賛同した大企業は、サプライチェーンが自然にどう依存し影響を与えているかを開示しなければなりません。それにはサプライヤーからの情報が必要なため、質問がサプライチェーンを下ってきます。実務上は、すでに受けている炭素に関する質問と並んで、次の4つのテーマが現れると考えられます:

  • 土地:拠点の所在地と、河川、保護地域、水不足の地域の近くにあるかどうか。
  • 水:水道料金の請求書から使用量と、下水道への排出量。
  • 廃棄物:種類別の発生量(トン)と、それぞれの処理先(埋立、焼却、リサイクル)。
  • 調達:主な素材は何か、どこから来ているか。特に木材、紙、食品、農産物や鉱産物。

すべての採用企業がすぐに尋ねてくるわけではなく、多くの調査票は「はい/いいえ」の質問1つから始まるでしょう。しかし方向性は明確であり、入札の期限が迫ってからゼロから始めるより、実際の数値で回答する方が簡単です。

今すべきこと

  1. 拠点を住所とともに一覧にします。自然に関する質問でまず必要になるのは所在地です。
  2. 1年分の水道料金の請求書を用意します。カーボンフットプリントにおける水使用量の記事で、立方メートルと排出量に換算する方法を説明しています。
  3. 廃棄物処理業者に種類別・処理先別のトン数を求める。処理業者のデータによる廃棄物の排出量をご覧ください。
  4. 主な素材とその原産地を記録します。まずは上位5つの短い一覧で十分です。
  5. 炭素に関する回答の一貫性を保ちます。顧客から炭素データを求められたときの対応のガイドで、同じ調査票の炭素に関する部分を説明しています。

自然の数値と炭素の数値が交わるところ

廃棄物は、1組の数値で両方の問いに答えられることを示す好例です。一般事業系廃棄物10トンを埋立処分する仮想の企業は、2026年の政府係数(1トン当たり520.58023 kg CO2e)で5.21トンCO2eを排出します。同じ廃棄物をエネルギー回収付き焼却に回すと0.05トン(1トン当たり4.65358 kg)となり、年間約5.16トンの削減になります。自然関連の調査票が求めるのはトン数であり、炭素を変えるのは処分先です。

Carbon Recyclingができること

Carbon Recyclingは排出量算定・報告ツールであり、生物多様性評価ではありません。行うのは、自然に関する質問の出発点となる記録の保持です。各拠点を住所と郵便番号で登録し、エネルギーや出張と並べて、上水の供給量、排水、素材別・処理方法別の廃棄物を記録します。各入力データは政府係数でCO2eに換算されて年ごとに保持され、拠点ごとのレポートも作成されます。顧客の調査票で水や廃棄物について尋ねられたとき、数量とその排出量はすでに揃っており、無料のサプライヤー調査票回答集が、それらと並ぶ炭素に関する質問への回答例を作成します。